ラモトリギン(ラミクタール®)についてcolumn

Update:2023.03.07

ラモトリギン(ラミクタール®)について

目次

ラモトリギン(商品名:ラミクタール)とは

 ラモトリギンは、双極性障害(躁うつ病)やてんかんに対して使用されるお薬で、「ラミクタール」という商品名で販売されています。ジェネリック医薬品も販売されておりその場合は名前にラモトリギンとつきます。

 ラモトリギンはイギリスの製薬会社グラクソスミスクライン社によって開発されたお薬で当初抗てんかん薬として開発されました。1990年にアイルランドで販売されて以来、現在では世界100ヵ国以上で使用されています。抗てんかん薬としてラモトリギンを開発している過程で一部の被験者の気分障害を改善することが分かり、双極性障害の治療効果について臨床試験が実施されました。その結果、有効性が確認され双極性障害治療薬としても多くの国で使用されています。日本においても抗てんかん薬、双極性障害治療薬として使用されています。

 双極性障害は、気分が異常に高揚する躁状態と気分がひどく落ち込むうつ状態、そして躁状態でもうつ状態でもなく通常状態である間欠期の3つの期間が症状として現れます。双極性障害の治療では基本的に躁状態、うつ状態、間欠期にそれぞれ最適なお薬を選択し患者さんに服用してもらいます。間欠期は通常状態であるためお薬を服用する必要がないと思われるかもしれませんが、通常状態を維持するためにお薬を服用し、躁状態、うつ状態を再発させないことが非常に大切です。通常状態の治療は基本的に薬物治療を行い、この期間の治療を維持療法と言います。ラモトリギンは維持療法やうつ状態の改善に用いられるお薬です。

 

ラモトリギンの作用について

 脳内には非常に多くの神経が張り巡らされており、脳の働きにアクセルをかける神経やブレーキをかける神経などがあります。双極性障害やてんかんの患者さんは脳の一部もしくは全体が異常に興奮してしまい症状が発現することが分かっています。ラモトリギンはこの脳にアクセルをかける神経に働きかけ、脳の興奮を抑制させる作用があります。

 てんかんは、脳の一部もしくは全体が異常に興奮することで、けいれんや意識障害などの症状が発現します。ラモトリギンは脳の興奮を抑えることでそれらの症状を改善させることが分かっています。しかし、双極性障害に対する治療効果の詳しいメカニズムはまだわかっておりません。ラモトリギンは脳の興奮状態を抑えるものの、躁状態の明らかな改善効果はありません。しかし、間欠期にラモトリギンを服用することで躁状態及びうつ状態の再発防止に効果的であることが分かっています。また、中等度から重度のうつ状態の患者さんに対して改善効果が確認されたとの報告があります(出典:日本うつ病学会治療ガイドライン Ⅰ.双極性障害 2020)。

 

ラモトリギンの服用方法について

双極性障害に対するラモトリギンの服用方法については以下の通りです。

 通常、成人は初めの2週間は25mgを1日1回服用します。そして次の2週間は1日50㎎を1日1回もしくは2回に分けて服用し、5週目は1日100㎎を1日1回もしくは2回にわけて服用します。6週目以降は1日200㎎を1日1回もしくは2回にわけて服用します。患者さんの症状や状態によって適宜増減しますが、突然大きな用量変更しないように徐々に変更していきます。なお、その他の双極性障害治療薬と併用する場合は服用方法が異なります。

ラモトリギンの注意点について

過去に行われた調査で認められた副作用は以下の通りです。

  • 発疹:9.1%
  • 傾眠(眠気):1.31%
  • 搔痒感(そうようかん/皮膚のかゆみ):1.21%
  • 易刺激性(イライラして精神的に不安定になること):1.01%
  • 肝機能検査異常:1.01%

 

飲み始めや飲む量を変更した時に、不安感が強くなることがあるため双極性障害の重いうつ状態にある患者などに対しては特に注意が必要です。副作用として皮膚症状が発現する可能性があり、その他の双極性障害・てんかん治療薬と併用すると特に小児において重い皮膚障害が発現したとの報告があります。投与開始初期はそれらの副作用発現の有無ni

注意し、症状が見られたら速やかに医師に相談するようにしてください。

 

服用できない/注意が必要な患者さん

過去にラモトリギンを服用してアレルギー症状を起こしたことがある方はこのお薬を服用することができません。

また、既に記載しましたが小児は大人に比べて皮膚障害が発現しやすい傾向にあります。特に発疹や皮膚のかゆみなどは一般的な感染症状と誤って診断される可能性があるため注意してください。妊娠中や授乳中の患者さんにおいては、ラモトリギンの服用で胎児や乳児に障害や副作用発現の報告があるため、予め服用の必要性を医師に相談するようにしましょう。

その他、服用している期間中は眠気、めまいなどがあらわれることがあるため、自動車の運転など危険を伴う機械を操作する際には注意する必要があります。もし、これらの症状を自覚した場合には、すみやかに機械の操作を中断してください。